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製品情報

光酸発生剤(スルホニウム塩タイプ)

CPI®-100 / 200シリーズ
UV / i線対応
CPI®-300シリーズ
i線対応
VC-1 開発品
i線対応
  • VC-1FG(粉体)
  • カチオン
    (光吸収部位)

    カチオン(光吸収部位)構造式
CPI®-400シリーズ
g線対応 / h線対応 / i線対応
ES-1 開発品、ES-2 開発品
g線対応 / h線対応 / i線対応
  • ES-1B(粉体)
  • ES-2B(粉体)
  • カチオン
    (光吸収部位)

    カチオン(光吸収部位)構造式

光酸発生剤(ヨード二ウム塩タイプ)
IKシリーズ

  • IK-1(粉体)
  • IK-1FG(粉体)
  • カチオン
    (光吸収部位)

    カチオン(光吸収部位)構造式
  • IK-20B(粉体)
  • カチオン
    (光吸収部位)

    カチオン(光吸収部位)構造式

光酸発生剤(非イオン性タイプ)

NAシリーズ(開発品)
i線対応
  • NA-CS1(粉体)
  • 光吸収部位:
    アリールアミド骨格

    光吸収部位:アリールアミド骨格

TAシリーズ(スルホニウム塩タイプ)

IKシリーズ(ヨード二ウム塩タイプ)

  • IK-1(粉体)
  • IK-1FG(粉体)
  • カチオン

    カチオン

AAシリーズ(アンモニウム塩タイプ)

  • AA-01(粉体)
  • カチオン

    カチオン

 

  • IK-20B(粉体)
  • カチオン

    カチオン
  • DBN(液体)
  • 構造式

熱塩基発生剤

DBU塩 熱塩基発生剤

DBU塩

DBU塩

DBU誘導体塩

DBN塩

フェニルホスフィン誘導体塩

ウレア類

アミン類

アンモニウム塩類

光酸発生剤について

光酸発生剤(Photo Acid Generator: PAG)とは、光を照射することにより酸を発生する機能をもつ化合物です。
ここでは、光酸発生剤の種類やその反応機構、そして選定の目安について解説していきます。

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※pdf版は一部古い表現が含まれており、最新の情報と異なる可能性があります。

光酸発生剤とは

1.光酸発生剤とは

光酸発生剤は構造的に分類すると、オニウム塩型のイオン性光酸発生剤、非イオン(ノニオン)性光酸発生剤の二つのグループに分けられます。 イオン性タイプとしてはスルホニウム塩やヨードニウム塩など、ノニオン性タイプにはイミドスルホネートやオキシムスルホネートなどが挙げられます。

2.イオン性光酸発生剤

イオン性光酸発生剤は、スルホニウム塩やヨードニウム塩などのオニウム塩型が知られています。
その特徴としては、
・弱酸から強酸まで、発生酸を選択できる(発生酸が対アニオンに応じて決まる)
・熱安定性が高い
・溶剤溶解性は低い傾向にある
という点が挙げられます。

トリアリールスルホニウム塩タイプ

トリアリールスルホニウム塩タイプ

ジアリールヨードニウム塩タイプ

ジアリールヨードニウム塩タイプ

3.非イオン性光酸発生剤

非イオン性光酸発生剤は、イミドスルホネートやオキシムスルホネートなどが知られています。
その特徴としては、
・溶剤溶解性が高い
・熱安定性は低い傾向にある
・発生する酸の種類がスルホン酸系に限定される
という点が挙げられます。

オキシムスルホネートタイプ

オキシムスルホネートタイプ

イミドスルホネートタイプ

イミドスルホネートタイプ

光酸発生剤の酸発生機構

1. イオン性光酸発生剤の酸発生機構(スルホニウム塩の例)

スルホニウム塩タイプの光酸発生剤に光照射すると、カチオン部位が光エネルギーを吸収してC-S+結合が開裂し、ラジカル種が生成します。
生成したスルホニウムラジカルは、系中のプロトンの引き抜き(下図の(i)の反応)や、Arラジカルとの再結合(下図の(ii)の反応)を経ることで、対応する対アニオンの共役酸の生成を引き起こします。

イオン性光酸発生剤の酸発生機構(スルホニウム塩の例)

2. 非イオン性光酸発生剤の酸発生機構(イミドスルホネートの例)

イミドスルホネートタイプの光酸発生剤では、イミド側の構造が光吸収部位となります。光照射による分解機構は、基本的にスルホン酸エステルの開裂であるため、発生する酸はスルホン酸に限定されます。

非イオン性光酸発生剤の酸発生機構(イミドスルホネートの例)

ref) C.J.Martin,et al., J. PHOTOCHEM. PHOTOBIOL., C., 34 (2018) 41.

光酸発生剤の利用例

1. 光酸発生剤の利用について

光酸発生剤から生成した酸は様々な触媒反応に使用されます。下記の表は、代表的な酸触媒反応をタイプ別に分類したものです。

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分類 反応の種類 概要
重合 開環重合 エポキシ、オキセタン等のオキシラン環の開環重合
付加重合 ビニルエーテル等の不飽和結合のカチオン重合
架橋 縮合反応 フェノール樹脂類と架橋剤との縮合反応
シラノール化合物類の脱水縮合反応
脱保護 脱保護反応 フェノール性水酸基、カルボン酸基等の保護基の脱保護反応

ref) 上野巧 著, フォトレジスト材料開発の新展開(CMC出版) 第5章

これらの酸触媒反応のうち、工業的な用途の広いものとして、(1)エポキシ樹脂のカチオン重合、(2)ポリヒドロキシスチレン樹脂(フェノール性水酸基含有樹脂)の脱保護反応、(3)フェノール樹脂とトリメチロールメラミンを架橋剤とする架橋反応が挙げられますので、以下にその詳細を紹介します。

(1) エポキシ樹脂のカチオン重合

エポキシ樹脂のカチオン重合の場合、光酸発生剤から発生した酸が、カチオン重合を開始する酸として作用します。
エポキシのカチオン重合の反応機構を下記に示します。

エポキシのカチオン重合の反応機構

最初に、光酸発生剤が光照射を受けて酸を放出します。発生した酸はエポキシに配位して、カチオン重合の活性種が生成します。 続いて別のエポキシの求核攻撃により活性種が開環し、第2の活性種であるオキソニウムカチオンが生成します。 その後、エポキシとオキソニウムカチオンとの逐次開環重合が進行し、エポキシ樹脂となります。

(2) ポリヒドロキシスチレン樹脂(フェノール性水酸基含有樹脂)の脱保護反応

酸触媒を利用した脱保護反応は、主にフォトリソグラフィー技術の分野で利用されており、特に半導体素子の製造に使用される化学増幅型レジスト樹脂で実用化されています。
具体例のひとつとして、t-Boc等の保護基を導入したポリヒドロキシスチレン樹脂に対して光酸発生剤を共存させたレジスト樹脂が挙げられます

 一般にポリヒドロキシスチレン樹脂は、フェノール性水酸基(OH基)が無保護の場合だと、アルカリ水溶液に可溶です。
 一方で、フェノール性水酸基t-Boc等の保護基を導入すると、アルカリ水溶液に対して不溶化します。

 このような樹脂系に対して光酸発生剤を共存させたレジスト樹脂では、光照射部分だけに光酸発生剤による酸発生と、生じた酸による脱保護反応を引き起こします。これによって、光照射した部分のレジスト樹脂だけアルカリ水溶液に可溶となるため、アルカリ現像操作によってレジストをパターニングすることが可能となります。
この技術をフォトリソグラフィーに適用したのが半導体製造用の化学増幅型レジスト樹脂です。

t-Boc保護基の脱保護反応の反応機構を下記に示します。

t-Boc保護基の脱保護反応の反応機構

光酸発生剤より発生した酸が、t-Boc基のカーボネートの酸素にプロトネーションします。続いて、脱炭酸を伴いながら保護基が外れ、フェノール性水酸基が再生すると同時に酸も再生します。

(3) フェノール樹脂とトリメチロールメラミンを架橋剤とする縮合型架橋反応

酸触媒反応を使用する縮合型架橋反応として、最もよく知られているのが、フェノール樹脂とトリメチロールメラミン化合物(架橋剤)と光酸発生剤との3成分系の組成物です。
反応機構を下記に示します。

3成分系の組成物の反応機構

光酸発生剤から発生した酸が、架橋剤中のメチロール基の酸素原子に付加し、メタノールとして脱離します。これによって生成するカルボカチオンが、電子供与性置換基を有する芳香環(フェノール樹脂)に対して、求電子付加反応を起こします。

多官能のメチロール化合物を用いると架橋点が増加するため、硬化物の物性が向上します。

光酸発生剤の選定の目安

1. イオン性光酸発生剤の選定の目安

カチオン部位の選定の目安
 イオン性光酸発生剤の選定では、最初にカチオン部位を検討します。
イオン性光酸発生剤のカチオン部位は、どの波長の光をどの程度吸収するのかを決める部分であるので、使用する光源の波長領域に対応したカチオン部位を選定する必要があります。
光の吸収度合いを表す単位として使用されるものが、モル吸光係数ε(単位:mol-1 L cm-1)です。

一般論として、光源波長におけるカチオン部位の光吸収が完全にゼロの場合はまったく酸発生が起こらず、光吸収が大きくなるにつれて(すなわち、モル吸光係数が大きくなるにつれて)、光照射量に対する酸発生効率は高くなります。 しかし特に厚膜の場合、モル吸光係数が大きすぎると照射光が膜表層だけで吸収されてしまい、膜深部まで到達できなくなるため、硬化不良などの原因となります。

例えば下の図に示すように、ε=10,000の光酸発生剤を用いた場合、膜表層から深さ50μmのポイントでは照射光の10%程度以下しか光が届かないため、膜厚50μmなどでは膜深部で硬化不良が起きやすくなります。

一方、膜厚10μm程度ではモル吸光係数の大小による透過率への影響は小さいため、εが高い光酸発生剤を用いた方が光吸収量が大きくなり、反応性が高くなります。

pag2.5wt%

条件
・Molecular weight of PAG : 1,000
・Amount of PAG : 2.5wt% (per resin)

pag5.0wt%

条件
・Molecular weight of PAG : 1,000
・Amount of PAG : 5.0wt% (per resin)

このように適用したい材料の種類や膜厚などに応じて、最適なカチオン部位や光吸収の度合いは異なりますので、ご相談ください。

主なイオン性光酸発生剤のUV-vis吸収スペクトル

アセトニトリル溶液中での吸収スペクトルの測定結果

左の図はCPIシリーズおよびIKシリーズのアセトニトリル溶液中での吸収スペクトルの測定結果です。
・CPI-100,200シリーズは、汎用グレードとしてご使用することができます。
・CPI-300シリーズは、i線高感度タイプとしてご使用することができます。
・CPI-400シリーズは、gh線高感度タイプとしてご使用することができます。
・IKシリーズは、単独で使用する場合は汎用グレードとしてご使用することができ、また増感剤を組み合わせると長波長対応させることもできます。

アニオンの選定の目安

カチオン部位の選定が完了したら、続いて反応系に適したアニオンを選定する必要があります。
アニオンを選ぶポイントとしては、以下が挙げられます。適用したい材料の種類や反応形式に応じて最適なアニオンは異なりますのでご相談ください。
・酸強度
・樹脂や溶剤への溶解性
・拡散性
・光照射後の(経時)着色性
・毒物及び劇物取締法などへの対応(特に、アンチモン含有か非含有か)

アニオンの違いによるエポキシ硬化反応を比較した実験の結果

左の図はCPI-100,200シリーズでの、アニオンの違いによるエポキシ硬化反応を比較した実験の結果です。 エポキシ硬化反応が進行するほど樹脂硬化物の鉛筆硬度が上昇しますので、光酸発生剤の添加量とエポキシ硬化反応の反応性を評価することができます。
・PF6アニオンでは、エポキシ硬化反応を進行させるために、多量のPAG添加量が必要となります。
・SbF6アニオンや(Rf)nPF6-nアニオンでは、少量のPAG添加量でエポキシ硬化反応を進行させることができます。
これらの反応性の違いは発生酸の酸強度によって決定されます。
弱い酸だと、樹脂中のエーテル構造やエステル構造によって酸がトラップされ反応停止してしまうため、より酸強度が大きいほど高反応性となります。

エポキシ硬化反応を用いたアニオンによる硬化性比較
実験条件
・カチオン部位:CPI-100,200シリーズ
・光源:メタルハライド(120W/cm2;ベルトコンベア式)
・露光:4m/分×1パス
・樹脂:3,4-Epoxycyclohexylmethyl
    3,4-epoxycyclohexanecarboxylate (脂環式エポキシ化合物)
・膜厚:40μm

アニオン選定ポイントのまとめ

上の図が、アニオン選定ポイントのまとめになります。
・図中で右にいくほど、強酸を発生させるアニオンです。
・図中で上にいくほど、アニオンを組み合わせてできる光酸発生剤が高溶解性となります。
・アニオンの体積(計算値)をそれぞれのアニオンの下部に示しており、体積が小さいほど発生した酸の拡散性が高くなります。

光酸発生剤の機能

動画概要
光酸発生剤(PAG)の機能
ローダミン呈色実験1
A:PAGなし溶液 B:PAG入り溶液の露光比較実験
ローダミン呈色実験2
A:市販PAG B:i線好感度PAGの露光比較実験

サンアプロは技術的なご相談を承っています

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※PFAS:2021年に公表されたOECDの定義

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